うさ耳ダーリン
「カグラ様…参りましょうか」


ゆったりとしたローブを羽織り、しわがれた木の杖をついているのは、


わたしの従者であるベアンその人。


ほとんど顔を覆いつくしている長い白髪と、


曲がった腰からかなり年季のはいったじいさんだと想像つくけど、


それもそのはず、彼は今年で221歳を迎える。
(ただし、自称なのでどこまで本当かはわからないけど…)


「もちょっと待ってくれる…?」


そう言って、わたしは懐かしいジルダ国の城門を見上げた。


十年ぶりの帰還。


どんよりと暗雲が立ち込めた空は、これから起こる何かを予感しているようにも思える。
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