アナタを振り向かせる。
人はきっと漫画みたいだって言うかもしれない。

でも目の前で起きた事はまぎれもない事実。

頬をつねってみても痛くて。本当なんだって思うと、ドキドキする。

私は少し急いでいて少し駆け足。向こうから誰かが来ているなんて気にせずに。

向こうから歩いて来る人にぶつかる。その人は紙束を持っていて、数枚を地に落とす。

一言謝ってから、慌てて私は手伝った。相手も同じように謝っているのが聞こえた。

明らかに急いでいた私が悪いと言うのに。


「私のせいで……本当にごめんなさいっ」

「僕も前見てなかったのが悪かったから気にしないで。怪我はない?」


全ての紙を拾い上げてから立ち上がり、私は漸くその人の顔を見る事が出来た。
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