胸キュンMonday ~甘く切ないすれ違いの恋~



現実逃避してる俺だけど…


こんなささいな出来事で

崩れそうになる…



俺は歩くことも出来ないくらいに、ゆかりとの記憶が甦ってきて…


その場で…

泣き崩れそうになるんだ。



エレベーターに向かう足が止まる。




俺の視線は、かわいらしい『ゆかり』という少女を見つめてた。


お母さんの元へ駆けてゆくその子を見て、


俺の元へ駆けて来るゆかりを思い出してしまうんだ。




「ごめん…やっぱやめとくわぁ、俺。」


俺は、とにかく一人になりたかった。


一人で、思い切り泣きたい気分だった。



「どうして?どうしてよぉ!卓弥。」


俺の腕をぶんぶんと振り回す奈津姫。


「お前のポリシー貫き通せよ!俺は客だぞ!」


俺は、無理して笑顔を作った。


さっきまでかかっていたクラシックがいつの間にかジャズに変わっていた。


「ごめん…今日、同伴できねぇわ。今度埋め合わせするから!」



俺の腕を掴む細い手を、振り解き…俺は、その場を離れた。



俺は、ホテルから出てすぐのゲームセンターのトイレに駆け込んだ。





「ひぃ…ゆか…り… ゆかり…」


俺の泣き声は、ゲーセンの騒がしい音で掻き消される。




逃げてたって仕方がないんだ。


自分のこの気持ちに嘘はつけない。




俺は、外せなかったおそろいの左手のブレスレットを右手でぎゅっと握り締めながら…


泣いた。



涙と一緒に


この情けない自分を


流してしまいたい…




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