胸キュンMonday ~甘く切ないすれ違いの恋~


「卓弥、悪い。次の講義俺の代返しといて!」


隆介は、意味深な笑みを浮かべて俺に鞄の中を見せた。



「何だこれ?動いてる!!」


袋の中を覗くと、タオルに体を隠して…ひょっこりと顔だけ出したかわいい生き物がいた。


動物好きの俺の血が騒ぐ。


俺は、手を入れてみた。



―――イテ!!


「痛っ!!噛まれた!!!」


隆介がゆっくり手に乗せた生き物は、ハムスターだった。

もぐもぐと口を動かしながら、キョロキョロと周りを見回す。

やばいくらいかわいい。

なんか、ゆかりみたいだなぁ。


「コレ、今から美亜に届けてくる。あいつ、もうすぐ学校着く時間だから。」


美亜ちゃんの登校時間まで把握してる隆介は、すっかり美亜ちゃんの彼氏のようだ。




隆介が席を立った時、隆介の携帯が鳴った。


「もしもし?あぁ、大丈夫、元気にしてるよ。俺も今日は早く帰ってエサあげるから。もう一匹ももらい手見つかったから安心しろ…」



隆介は、電話をしながら俺に片手を上げて部屋を出た。



少し嫌な予感がした。


今の隆介の電話の相手…きっといつも電話かけてくる女。

ゆかりからよく聞く名前…鈴子。

きっと鈴子からだ。


そして、あのハムスターは鈴子の家で生まれた。

もらい手は、美亜ちゃん。


残酷だなぁ…


美亜ちゃんは、ライバルからもらったハムスターを育てる…ってことか。

鈴子は鈴子で、自分の大事なハムスターをライバルにあげる。



まぁ、俺の勝手な妄想だけど…

鈴子は、ただの友達かも知れないし、隆介を好きではないのかも知れない。


俺とゆかりと美亜ちゃんの間で、勝手に生み出された妄想…
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