求命
キッチンに一人いた。その表情に暗さはない。むしろ明るいようにも思えた。
玄関のチャイムが鳴った。
「ただいま。」
父親だ。
「おかえりなさい。」
「あなた、聞いて。大伍の就職が決まったのよ。」
「おお、そうか。」
笑顔が溢れた。
「大伍は自分の部屋か?」
「はい。もう夕食の時間だから下りてくると思うわ。今日はごちそうですよ。」
幸せな風景が広がる。
< 67 / 69 >

この作品をシェア

pagetop