相合傘
真実は逆!?

悪戯なヤツ




俺の名前は時藤相乃、18歳。
身長約160センチ、体重はまぁ…それに見合ったくらい。
AB型で、ある意味で二重人格。



今、スクランブル交差点のド真ん中を歩いている。
今日は生憎の雨。
目の前を行き交う人々は、傘で顔がよく見えなかったりするが、一緒に歩く友人と楽しそうに話している声が聞こえたり、メールを打ちながら歩いていたり。

……よくぶつからないで歩けること。

関心の目を向けながら、俺は家へと足を急がす。
今日の午前中は大学、午後からは花屋でバイト。
これが、結構疲れるんだよなぁ。

歩道に入ると、突然誰かから肩を叩かれた。
振り向いてみると、イチゴ柄でふりふりのレースがついたドレスっぽいワンピースが見えた。
その人の顔が見えなくて、傘を動かして顔を確認。
その人の顔は、俺の頭一個分上にあった。
 
……で、デカッ!!

「ねぇ、僕ちゃん。傘に入れてくれない?」
「……は?僕ちゃん?」

ね、お願い。と手を合わせて頭を下げられても…

「い、いや、俺は君の事知らないんだけど」
「え~、自分は君の事知ってるよ?」
「でも、俺は知らないんで…」

ではでは~と言って、彼女の隣を過ぎようとしたら、腕を掴まれた。
うわっ、意外と力ある…。

「あ、そっかそっか、それも無理ないか」

そう言って、一人で納得してポンッと手を叩いた。
そして俺の顔を覗き込んでくる。

あ、結構可愛い顔してる…って、コラコラ。


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