相合傘
ちらりと後ろにいるヒロヤくんに視線を寄越せば、ポカンと魂が抜けた様な顔をして固まっていた。
…そんな顔したいのは、俺の方。
まぁ、本当にキスしたわけじゃなくて、スレスレのトコで止まってただけで。
そ、“そういう”フリをしただけで。
うわ、心臓バクバクしてる…、痛ぇ。
次は“アキちゃん”に手を引っ張られながら、俺たちは公園を後にした。
俺はその手をそっと握り返しながら、どうかこの心音が、“アキちゃん”に気付かれません様にと、足元だけを見て歩いたんだ。