ハツカレ ノ カオリ

ブルブルッ…ブルブルッ…


……


…え？



ケータイなってる？



グスングスン泣く私の足元で、ケータイが着信を告げていた。



高島君からだ。


何で今…？


こんなに泣いてる声で、出れないし…。


でも出ないと。


そう思ってケータイを手に取る。



画面に写る"高島君"の表示に何か嬉しくて、また涙が出てきた。



ヤバイ…ヤバイ…。

更に出れなくなっちゃうし。


急いで涙を拭いて鼻をかんで

ふぅ！


一息つく。

気持ちを落ち着かせて、高島君があきらめずに鳴してくれている電話をとった。




『あっ！実莉？
どぅ？具合。』



受話器から心配そうな、高島君の声。



「薬飲んで寝たから、もぅダイブ良いよ。」



私が鼻声を隠しながら、そう言うと高島君はちょっと安心した様に"良かった。"って言った。


心配してくれてるのは嬉しかった。


嬉しかったけど…。


ちょっと淋しかった。