アンバランスな恋心
光ちゃんのキスは




光太郎と違って
煙草の匂いがしなかった

ミントの香りと
何か別の甘い匂いが
入り混じって

私の脳を
くらくらさせた




「旅行、行かないんだって?」

光ちゃんが
唇を話すと質問してきた

私は頷くと
光ちゃんから離れた

そして後部座席のドアを開けた

「助手席じゃないの?」

光ちゃんが不思議そうな顔をした

「その席は
ココさんの場所でしょ?」

私は乗り込むと
鞄で太ももを隠した

短いスカートは
座ると
裾がずりあがる

だから
鞄で若くない足を
隠した

「旅行……」

光ちゃんが話を戻した

「行かないわ」

「どうして?」

「光ちゃんとココさんが
仲良くしてるのを見ながら
笑顔でいられると思う?」

「違うでしょ
兄貴とスーちゃんの…でしょ」

「違うわ
瑛ちゃんなんてどうでも
いいもの」

会話が途切れた
沈黙が
マンションまで続いた

光ちゃんは何を考えていたのだろう

私はわからない
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