イケメン☆パーティー

どうやらそれは社内の暗黙のルールらしいけど、新人のあたしは知らないことだった。


「まあ、うちは女性は基本的に希望しない限り転勤はないから、かりんちゃんは気にしないで大丈夫だと思うよ」

「あ、それは入社時に言われました」

あたしの実家は千葉の南の方。

大阪なんて言ったら両親はきっと反対するに決まってる。

あたしも土地勘のない大阪に転勤したいとも思わない。

こんなとき、つくづく女でよかったって思う。



「ありがとうございました」

マンション前まで水野さんに送ってもらい、再びタクシーに乗り込んだ水野さんにあたしは頭を下げた。

「いや。ほら、もう行って。
先に入ってくれないと心配で行けないよ」

笑って水野さんにそう言われ、あたしはもう1度頭を下げ、マンションの中に入った。


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