イケメン☆パーティー

その週末、あたしは水野さんとデートの約束をした。

会社近くに新しくできた創作和食ダイニングの店で、さっそく『みゅーず』を見せた。

水野さんは新人賞発表のページを開き、あたしの名前を指差した。

「本当だ、載ってる。
あらためて、おめでとう」

にっこり微笑まれ、あたしも笑顔になった。

付き合ってはじめてのデート。

大好きな水野さんが目の前にいて、念願のマンガ家デビューも果たせた。

こういうのを無上の幸せって言うんだろうな。


水野さんは、そのままパラパラとページをめくり、あたしのデビュー作を読み始めた。

「うわわわわっ!」

あたしは慌てて水野さんの手から雑誌を取り上げた。

きょとんとする水野さんに、あたしは雑誌をしまいながら苦笑いを返した。

「あー、これは帰りにあげるからさ、マンガは家に帰ってから読んで」

目の前で読まれるのは、明るい場所で裸の身体を見られるのと同じくらい恥ずかしい。


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