イケメン☆パーティー

受付を通ると、田所さんに声を掛けられた。

「あら、帰るの?」

「はい、お先に失礼します」

受付の周りは閑散としていた。

田所さんは辺りを窺い、声をひそめて聞いてきた。

「ねえ、水野さんってあなたと舜君の同僚なの?」

「部署は違いますが同じ会社の先輩です」

「ふうん。彼氏?」

あたしはちょっと照れながら頷いた。

「はい……」

田所さんは、体を引いてあたしを見た。

「なあんだ、あなた彼氏いたの。
あ、そうそう、舜君に新人賞取れたの、私のおかげってちゃんと伝えておきなさいよ。
それと、今日も私のおかげで無事に彼氏が会場に入れたって言っておいてよ」


田所さん、まだ頑張ってるんだ。

舜には相当嫌がられてるはずだけど。

このバイタリティ、ある意味尊敬する……


あたしは苦笑いして会釈し、ロビーへ向かった。




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