ラブリー

「えっ…フリ??」


「だからお願いされたとおり…俺 フリしかしてねぇよ。美羽ちゃん、こんなにカッコいい俺よりも、はじめてのキスは“好きな人”がいいんだって。勿体ないことを言うと思わね?」


「…………」


「このオーディションも…そいつとキスがしたくて参加したらしいよ」


とびきりの笑顔を向け、オレの肩を目が覚めるような勢いで叩き、そして遼はこう続けた。


「早く見つけてやれ!」


「痛てぇよ!遼に言われなくても行くに決まってるだろ」


この時はじめて知った…アイツの想い。


それを胸いっぱいに感じ…


「琉生、どこに行くんだ!」


周りの声を無視して、アイツの元へ全力疾走した。
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