148㎝の王子様
軽やかな音楽とともに卒業生達が入場してきた。

みんなまだ泣き顔ではなかった。

そこには拓斗先輩の姿があった。

背筋をぴしっと伸ばして、真剣な顔をした拓斗先輩は、

今までで1番かっこよかった。



だんだん体育館に啜り泣く音が響いてきた。

みんな悲しそうで。今日で終わるということを、改めて実感しているようだった。

そして、また最近流行りの卒業メロディーとともに、

卒業生が退場し始めた。

みんな入場とはまったく違うくて、みんな泣いていた。

拓斗先輩も泣いていた。



「うっ…。ぐすっ…」

「千春ちゃん。そんな泣かないの」

拓斗が頭をぽんぽんと撫でてくれた。

うぅ…。なんであたしが泣いてるんだろ…。

拓斗先輩の姿をみたらいきなり涙がどっとでてきた。

「ずみまぜん…」

拓斗先輩…いっちゃうんだ…。

そう思うと涙がまた溢れでてきた。


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