就活ラブ -gleam-

第１章

枯れてますが、何か？

腕の時計でタイムを確認する。

まあこんなもんかな、と一人で納得して歩き出す。


「ちょっと！ダイ！」

後ろからマネージャーの絢の声が追いかけてきたので振り返った。

見ると絢が救急箱片手にやや憤怒していた。


「え、なに？なんかあった？」

「なに、じゃない！怪我してるんだから手当てしようよ」


そう言われて、改めて手もとを見る。
いくつか擦り傷があるけど、たいしたことはない。


「別にこれくらいいつものことじゃん。舐めときゃ治るって」

俺は笑って手を振る。


「もー、すぐ笑ってごまかすんだから。ほんとにダイは……」


呆れているマネージャーを無視して、俺はさっさとクーリングダウンを始めた。






法律に興味があったけれど、かなしいかな地元には法学部がなくてこの大学にやってきた。


法学部の人は比較的真面目な人が多いけどその中でも俺はかなり上級クラスだと思う。

部活の大会以外で講義をさぼったことは一度もない。

勉強すればするほど、刑法にも会社法にも果てには国際法にまで次々と興味がわくもんだからきりがない。


でも地元を出てまでこの学部を選んで本当に良かったと思っている。



それから、俺が法律と同じくらい情熱を注いでいるのが部活だ。

オリエンテーリング部。