就活ラブ -gleam-

盛大な親近感とわずかな違和感



「いよいよ就活始まったって感じだよなー。まじ憂鬱」


相変わらず勉強に部活に就活に忙しい日々を送るうちに、季節は秋の終わりになっていた。


俺は違う学部の友達である武史とザキと連れたって、ベンチャー企業のセミナー会場に向かっている。

歩きながらザキがそんなことを言う。本当に嫌そうだ。


「そうかー?」

「ダイは次元が違うんだよ。お前去年から就活してたじゃん」

武史がそう言って、それにザキも頷く。


「俺はマスコミ狙ってんだから当然だろ。
っていうかさ、時間ギリギリだから急ごうよ」



会場に着いたのは本当にギリギリ。

席はもうほとんど埋まっていて、俺が指定されたテーブルにもひとつしか残されていなかった。


入り口に一番近いテーブルの壁際のその席に着く。

すると正面の女の子がにっこりと笑って声を掛けてくれた。


「こんにちは。T大学の長田桃依(おさだももえ)です。よろしくおねがいします」


同時に三角柱に書かれた名前が目に入った。
まず綺麗な字だなと思って、次に可愛いらしい名前だなと思う。


すぐに俺も自己紹介をした。

「A大の日下部大輔です。よろしく」


それに続いて、他の人も名字だけ順番に名乗った。

その都度三角柱で名前を確認する。


自己紹介が終わって、俺は自分だけ三角柱がないことに気付いた。

目の前にそれらしき白紙が置いてある。


「これに名前書けばいいの?」

一番話しかけやすそうな目の前の長田さんにそう聞くと、何故か一瞬驚かれた。

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