【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~


「お、お待ち下さい!なりません!お嬢様っ!!」




何かを悟った丹原さんに、一歩遅れたあたしの腕が捕まる。


強く握られた手首が、ジンジンと痛みだす。




「嫌…っ!離してっ!!」


「…なりません。奈々様、ご自分の立場をよくお考え下さい。貴女様は、隼人様の大切な婚約者。貴女様をお守りすることが、私の使命にございます…!」


「…っ…、お願い!離して丹原さんっ!!あたしは行かなきゃならないの…!どうしても、今会わなきゃならない人がいるのよ!!」




…なんて強い、力。


どんなに必死に抵抗しても、あたしの力だけじゃ到底丹原さんには敵わない。




「…なりませんっ…!」


「嫌ぁっ!!離して…!……お願いだから…南に会わせてっ…!

どうしても会いたいのっ…会わないとならないのぉ…っ!」




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