冬うらら2

 そんなにイヤなの?

 親への結婚の報告というものが、そんなにイヤだというのなら、どうして連れてきてくれたんだろうか。

 彼の性格からして、そのまま放置しておくことだって出来ただろうに。

「まー、一人で大きくなったって顔して」

 カイトとそっくりの目が、細められる。

 すぐそばにいたら、息子の年齢の大小に関わりなく、小突きそうな雰囲気だった。

 しかし、言葉に毒はない。

「もし、これから結婚するということで紹介に来たんなら、きっと『やめときなさい、不幸になるだけよ』と言ったわよ、私。こんなワガママな男と結婚して、人生を棒に振る必要なんかないもの」

 あっけらかんと。

 スラスラと。

 立て板に水のように、赤い唇でしゃべり出す。

 その色が、だいぶ自分のペースを、取り戻してきたかのように見えた。

 結局はカイトと親子なのだから、メイの存在にさえ慣れれば、緊張する必要などないのだ。

 カイトは、目を見開いて母親を見ていた。

 黙れ、と言っているようにも見えたし―― 勘弁しろ、と言っているようにも見えた。

「あんたはねぇ…1年以上も音信不通にしていたかと思ったら、いきなり電話してきて、『結婚した』なんて聞かされた、親の気持ちも考えなさいよ。お父さんと私、昨日ほとんど眠れなかったのよ。どんなお嬢さんを連れて来るかと、気が気じゃなかったんだから」

 しかし、母親の口は止まらない。

 どんなお嬢さん。

 ビクビクッ。

 メイのアンテナに引っかかったその言葉が、彼女を震え上がらせた。

 どういう風に自分のことを予測されていたのか、メイには想像も出来ないのだ。

 そして、その想像通りなのか、果たして見当違いなのか。

 更に、よいと思っているのか、そうでないのかさえ、彼女には分からない。

 ただ、ここに座っていなければいけないのだ。
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