冬うらら2
2月

02/01 Tue.

●60
 昨日の夜から、ずっと考えていたことがあった。

 結婚講座の話ではないが、神父様の言葉で、自分がしなくてはならないことを思い出したのだ。

 朝。

 朝食の時に切り出そうとしたが、タイミングが見つけられずに、どんどん後延ばしになってしまう。

 会社に出かけるために、彼が玄関の前まできた時―― ここが、最後のチャンスだった。

 ちゃんと言わなきゃ。

 ぎゅうっと、抱きしめられた後。

「あの……ちょっと、今日出かけてきていい?」

 離れ際に、小さく呟く。

 こういうことは、どう切り出したらいいのかよく分からない。

 多分、カイトのことだから、『ダメだ』とは言わないだろう。

 彼女にとっては、少し遠出になる。

 ちょっとそこまでお買い物とは、性質が違うものだ。

 ぱっと、カイトの表情が曇った。

 しかし、それは否定を表している表情ではなかった。

 そうではなくて、どうしていきなり出かける許可を求めるのか、分かっていないようである。

 ワケを聞きたそうだ。

 彼の無言から、色んなものを感じたメイは、理由を説明しようと思った。

「あっ、あのね…」

 しかし、あんまりゆっくりしゃべっていると、彼の出勤が遅れてしまう。

 急いで要点だけ伝えようと思ったのだが、やっぱり舌がうまく動かない。

「あのね…その…お……」

 じっと見られ続けるのが恥ずかしくなって、彼女はうつむいてしまって。

 それでも、まっすぐな視線を感じて、落ち着かなさを増幅させるばかりだった。

 ますます、舌がもつれる。
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