冬うらら2
□
「え?」
足を浮かすように持ち上げて、彼は―― 流しの横に座らせた。
彼女の足が、ぷらんとぶらさがってしまう高さ。
「座ってろ」
流しの上のメイに、間近から釘を刺す。
このまま、次から次へと激突されてはたまらなかったのだ。
家具とか物に対しての心配など、一切していない。
しているのは、彼女の身体の方だ。
いまは、大したことは起きていないが、何かあったらどうするのか。
今度、上から降ってくるのは、ボウルではなく包丁かもしれないのだ。
そんな想像をするだけで、彼の心臓は縮み上がる。
飢えたライオンの檻の中に、カイト一人で放り込まれた方が、よっぽどマシだった。
「え、でも!」
降りようとする身体を、押しとどめる。
「座ってろ」
今度は、もう少し強い口調で言った。
その気配に押されたのか、彼女はようやく動きを止めたのだ。
ガラン、ガラン。
カイトは、大中小のボウルを拾い上げ、そのまま全部重ねて上に置く。
フライパンも。
洗うとか、系統だてるとか、元あった場所に戻すとか、そういうことまで気が回らなかった。
とりあえず、上の方にあげていればいいと思ったのだ。
そして、すぐ近くにあったホウキとチリトリを掴むと、皿の片づけに向かう。
「カイト……」
シューンと。
すっかり、しょげてしまったメイが、まるで懇願するように彼を呼んだ。
何で。そんな子犬のように、不安そうな顔をするのか。
「いい」
気にするなと言いたかったのだが、彼の口はそこまで動かなかった。
メイを流しの横に置いたまま、カイトはさっさと破片を片づけた。
そして、全部が終わって。
改めて、流しのところに帰ってくる。
「え?」
足を浮かすように持ち上げて、彼は―― 流しの横に座らせた。
彼女の足が、ぷらんとぶらさがってしまう高さ。
「座ってろ」
流しの上のメイに、間近から釘を刺す。
このまま、次から次へと激突されてはたまらなかったのだ。
家具とか物に対しての心配など、一切していない。
しているのは、彼女の身体の方だ。
いまは、大したことは起きていないが、何かあったらどうするのか。
今度、上から降ってくるのは、ボウルではなく包丁かもしれないのだ。
そんな想像をするだけで、彼の心臓は縮み上がる。
飢えたライオンの檻の中に、カイト一人で放り込まれた方が、よっぽどマシだった。
「え、でも!」
降りようとする身体を、押しとどめる。
「座ってろ」
今度は、もう少し強い口調で言った。
その気配に押されたのか、彼女はようやく動きを止めたのだ。
ガラン、ガラン。
カイトは、大中小のボウルを拾い上げ、そのまま全部重ねて上に置く。
フライパンも。
洗うとか、系統だてるとか、元あった場所に戻すとか、そういうことまで気が回らなかった。
とりあえず、上の方にあげていればいいと思ったのだ。
そして、すぐ近くにあったホウキとチリトリを掴むと、皿の片づけに向かう。
「カイト……」
シューンと。
すっかり、しょげてしまったメイが、まるで懇願するように彼を呼んだ。
何で。そんな子犬のように、不安そうな顔をするのか。
「いい」
気にするなと言いたかったのだが、彼の口はそこまで動かなかった。
メイを流しの横に置いたまま、カイトはさっさと破片を片づけた。
そして、全部が終わって。
改めて、流しのところに帰ってくる。