冬うらら2
♪
「最初から、とっととそうしてればいいのよ」

 満足な結果に、ハナがうんうんと頷く。

「バカ野郎! 何かトラブルが起きたらどうするんだ!」

 先輩が近くで怒鳴っているが、彼女の耳には入らなかった。

 いや、入ったからこそ反撃できたのか。

「うっさいわね! この程度のことでガタガタ言うような小物なら、コーナンの協力会社なんてやってけるワケないでしょ! うちのボスは、コウノなのよ…もっと理不尽に決まってんじゃない!」

 威勢よく、ハナはタンカを切った。

 ワンコのことくらい、彼女は知っている。

 コーナンのパッケージで、ソフトを売り出しているのだ。

 知らないハズがない。

 どういう力関係かも、黙っていても耳には入ってくるのだ。

「お、おい…ハナ」

「ワンコが怖くて、ペディグリーチャムが買えるかぁ!」

 怒鳴ったハナの真横から。

 腕がにゅっと伸びた。

 その手の先には、忌々しいワインが。

 しかも、封が切れていた。

「空いたで…」

 ぞくっ。

 背筋に、何かが走るほどの―― いい声だった。

 それに、驚いてばっと振り返る。

 そういえば。

 さっきから黙ってつったっていたので、声を聞いたのはこれが初めて。

「ついでにチーズも、もろてきたで」

 ワインには、チーズやろ?

 右手にはワイン。

 左手にはチーズの皿。

 でも。

 ワンコの社長の目は、ハナに注がれていた。
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