冬うらら2
□
 絶対、帰ってくるというのは―― カイトが帰りたい以外の何物でもない。

 たとえ眠っているメイであったとしても、その身体を抱えて休みたかった。

『でも…あの……』

 納得しきれないような声だ。

「寝てろ…絶対だ」

 出迎えるな。

 そこまで言って、ようやく寂しそうな声のまま、『はい』と答えた。

 そんな声をさせてしまう自分が、やはり呪わしくなってしまう。

 よかれと思って言ってるのだが、うまく伝えることが出来ない。

『それじゃあ、夕食はダイニングの上の置いておくから…食べてね』

 メイからのお願いだった。

 彼女に要求を飲ませたのだ。

 自分だって、飲まなければならないだろう。

 せっかく用意してくれていた夕食だ。

 食べるとも。

「あぁ…」

 分かったと言って、そして電話を切った。

 ふぅ。

 中途半端に、声を聞くものじゃなかった。

 空腹なのを、思い出したのだ。

 いや、何か食べたいという空腹ではない―― メイという存在に対する空腹感に、いま襲われているのである。

「クソッ…」

 しかし、いまのカイトは囚われの身だ。

 魔王を倒さないと、家には帰れないのである。

 その悪人に立ち向かうべく、カイトは開発室に戻った。

 自分の椅子に座る。

 もう一つ。

 何か、ひっかかっていたのだが。

 カイトは、キーボードに指をかけながら眉を寄せた。

 自分は、何に引っかかっているのだろうか。

 脳のシグナルが、ちかっと金色に光った。


 あぁ???


 ―― 思い出した。
< 93 / 633 >

この作品をシェア

pagetop