生徒会長様の、モテる法則
特別編 バレンタインって何それ美味しいの?






朝起きてすぐに歯を磨く人と、磨かない人がいるように。

日頃身に付いている習慣というものがあるように。
身に付いていない習慣というのも、存在すると思う。



例えば、甘ったるい匂いが街中に充満する二月とか。



今までバレンタインという日が無関係というわけでもなかった。
前の学校で少なからず浮き足立ったあの青春独特のナマイ空間で過ごしていたのだから。

チョコレートを女の子から貰った事だってあった。

そういう女の子達は口を揃えて「鈴夏ちゃんカッコいい」と言っていたし、マサにも「逆チョコです!姐さん!結婚してください!」と鼻息荒めに言われたことがある。




とどのつまりは、少なからず“好意”というものが存在していると言う事。





無論、それは私には無関係だった訳で。






女の子にとっての習慣、というのが私には欠けていた。







それはもう、決定的に。







なぜなら私は、今までチョコレートを渡すような甘い関係の人間は居なかったから。





だから、2月14日がバレンタインデーであり、恋人達が砂糖を振りまきながら過ごすはた迷惑な日である事を。





すっかり忘れていた。















特別編

バレンタイン?何それ美味しいの?










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