生徒会長様の、モテる法則

4-5 桜の木の下で





いやぁ、久しぶりに自分の過去を蒸し返してナーバスになってしまった。


「…あれ。ナーバスって何?」


「神経質」


使い方間違えた!
そしてユキ君、ついに敬語を使わなくなった!



「そんな事より、仕事してください」



良かった!
敬語に戻った!

辛うじて年上のポジションキープ。
英単語の和訳を質問した時点で終わっている気がするが、そこはスルーすることにする。


毎回恒例となった“仕事しろツッコミ”を終えたユキ君は、何事もなかったかのようにパソコンに向き合った。



思い返してみれば、あんなマイナス思考になったのは久しぶりだ。

脱線に脱線を重ねて、思い出す必要のない過去の事を蒸し返してしまったわけで、そんな昔の事を振り返って悲しんでも意味がない。


考えるのやめよう。



気を取り直して、私はユキ君の使うパソコンを覗き込んだ。




「ユキ君、打つの早いねぇ」




コンピューター特有の角張った文字が、画面上一直線に並んでいる。

技術学芸会が終わっての有り難い生徒会長の総評や、各クラスの出し物・料理の評価や内容などをいわゆる“生徒会だより”として発行するらしい。


うちのクラスの欄を探していると、『斬新なラスト・ジュリエット叫び声を上げて復活』という見出しが目に入った。




明らかにうちのクラスじゃん、つうか私じゃん。


「なにこれ考えたの誰!」



「秋斗先輩です」



「!!」



さり気ない嫌がらせが得意だなアイツは!


その他にも、“校長の一言”とか“実行委員長の挨拶”とか色々あるのだがさして興味はない。


そう言えば実行委員長にお礼してないや。





「本当に下品な叫び声でしたよね」



珍しく話題を振ってきたと思ったら、とんでもない爆弾投下してきたよ。この子。




「気を失ってたんだから、多目に見てよ」



「それにしたって女性のあげる声じゃないでしょ」



女性…、ねぇ…。



「あ!ユキ君の好きなタイプってなに?」



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