溺れる唇にキスを



そんな思いと唇に灯る熱は、
ズクンと心臓を疼かせる。


グッと押し込まれる颯自身に、
さらに熱が上がってゆく。


「ねえ、早く付き合ってよー」

「だーめ、俺彼女いるし」


拓也の声を聞きながら、
颯とキスをする。


罪悪感と、颯に与えられる
快楽に落ちていく感覚。


苦しくなる。


「汐音、俺の声。聞こえてる?」


掠れるように囁く颯の声。

甘く、甘美な唇。

拓也の声なんて、もう聞こえない。


「…聞こえてる」


再び落ちてくる唇は、
少し震えてた。

ねえ、颯。


あたしに
どんな思いでキスするの?


彼氏に浮気されて
可哀そうな女だって思ってる?


それともただ単に触れたいだけ?


あたしは…。


「…汐音、彼氏がどんなこと
してるか知ってるの?」


申し訳なさそうな声が
あたしの思考を一時停止をさせる。


拓也のしてること、
知っているよ。



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