それでもわたしは生きている
家族との記憶

物心がついた時には、父と母、私と3つ下の弟との4人で、風呂無しの狭いアパートで暮らしていた。

2、3分先の、父方の祖父母の豪邸にお風呂を借りに行くのが毎日の日課だった。

私と弟は広くて綺麗なお風呂に入れるので、毎日楽しみだった。

父は、別に何も思っていなかっただろう。

母は…


気が付くと…
母が消えていた…


父と、幼い私と弟は、祖父母の豪邸に引っ越した。


そして数日後、父が消えた…。


私と弟は何もわからず、厳しい祖父母の元で、仲睦まじく保育園に通っていた。



私が小学校に上がる春、祖父母はゴンタな私達姉弟を

「もう育てられない」

と言って、施設に預けようとした。

幼いながらに私は何かを感じ

「お母さんの所に行きたい!」

と泣きわめき、その願いを叶えた。


その願いを叶えたのは私だけだった…


今度は私自身が、幼すぎて何もわからず、無邪気に笑っている弟の前から消えた…



私達家族がバラバラになるのに時間はかからなかった…

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