それでもわたしは生きている
元気な赤ちゃんの声。
助産婦さんが、まだ少し血にまみれて、しわくちゃで小さくて壊れそうな赤ちゃんを、8時間の出産を終え、汗だくの私の胸の上にのせた。
先生達が口々に、笑顔でおめでとうと言ってくれる。
こんなに小さな赤ちゃんを初めて見た。
まだ目も開けられないのか、小さな小さな手をギュッと握り締めて、無防備に私の胸の上で生きている。
たった今、私の身体からこの世に出てきた私の赤ちゃん。
私は無表情に赤ちゃんを観察していた。
病室に戻され、独りになり静けさが戻った。
8時間分娩室で頑張ったんだから疲れ果てているはず。
だけど、泣く力はまだ残っているようだ。
ナオキ、産まれたよ。
ナオキと私の赤ちゃん、やっと産まれたよ。
ナオキに抱いて欲しかったな。
気が付くと眠っていた。
看護師に起こされ、初めての母乳。
胸に抱えた赤ちゃんは、やっぱり小さい。
赤ちゃんが母乳を飲む。
不思議だ。
看護師が様子を確認して出て行った。
猿の様な顔で、私の腕の中で眠りに付く赤ちゃんを見つめていると、また泣けてきた。
私は、これからどうしよう。