悪魔は甘く微笑んで【恋人は魔王様 番外編◇ドリーム小説】
だから、金曜日の帰り際

「ねぇ、日曜日の舞台、忘れてないわよね?」

と、志保さんに確認されるまで、正直、さっぱり忘れていたの。

私は慌てて笑顔を作る。

「もちろん。覚えているわよ。
 えっと、帝劇で3時からだっけ」

「違うわよ。帝劇で1時から。
 ねぇ、一緒に食事してから行かない?」

「……う、うん」

別に、潤とは何の約束もしてなかったけど。

「嫌だわ、きよみさん。
ものすごく、デートの邪魔しないでって顔に書いてある。
女友達の友情なんて、彼氏が出来たら終わりだって雑誌では見たことあったけれど、本当にその通りなのね」

志保さんが、淋しげな口調で言うから、

「そ、そんなことないわよ」

と、反射的に否定する。

「あら。無理しなくてもいいのに。
チケットは準備できないけど、食事くらいはご一緒して差し上げてもいいのよ?」

どうして、そんなに上から目線で言葉が降りてくるのか分からないけれど。

「そうね、もし、潤に時間があるなら。
 誘ってみようかな」

場所を確認して、教室を出た。
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