秘宝-戦い-第Ⅰ幕
カメの甲羅を持ち、体はトカゲの妖怪が居た。

「皆さん!下がって!!」

アレンが言った。


有香は不思議とやることが分かっていた。

自然に腰の短剣を抜き、口にくわえ、近くの木によじ登った。


木から木へと渡り、妖怪の真上の木についた。


アレンは有香に気がつかなかった。


アレンは一声上げると、妖怪の足を剣で刺したが、突き飛ばされた。

妖怪の足や腕は鉄のように固いのだ。

彼は再度、妖怪に向かって行ったが、突き飛ばされてばかりだ。


有香は真呼吸し、木から妖怪の首元に向かって飛び降り、ブスッと短剣を突き刺した。

「ギャーー」

妖怪は叫び、倒れた。

そして、消えた。

有香は短剣についた妖怪の血を、地面の雑草で拭い、さやに納めた。


「ユ…ユカ様…」

アレンが言った。

「アレンさん、大丈夫ですか?」

有香はアレンに走り寄った。

「大丈夫です…」

アレンはよろよろと立ちあがった。


この少女は…

一発で妖怪の弱点が分かったのだろうか?

普通の人間があんなに軽々と木から飛び降りれるものなのか?

この子は…

シャリアン様の血を、受け継いでいる。

アレンは直感した。
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