衆道剣風録~契りの剣 四 決死!天寧寺!

十八

 庄左右衛門が馬で左横に移動した。

 見事な手綱さばきで馬を横に歩かせる。中央に修理と五部浄を残し、右後ろの二人を相手にしようと言うのだ。

 その二人は、じりじりと八艘と車の構えで庄左右衛門に躙り寄ってきた。
 一人は馬を斬り、もう一人は庄左右衛門の足を斬るか。

 庄左右衛門が突然馬を立たせた!
 馬は前足を高くばたつかせて敵を敬遠する。

 庄右衛門の足が馬の腹を蹴ると、馬は後ろ足を蹴って右の男の方に素早く飛びかかった!
「う、うわ!」
 馬を斬ろうとしたが、その巨大な身体がのし掛かってきたのだ!前足が男の胸を蹴った。

 倒れたその上に庄左右衛門は馬を乗せた。

「うぎゃーっ!」

 そしてもう一人に向かおうと馬の首を廻そうとした時、左下から逆袈裟で腹を斬られた!
「うがっ!」
 落馬した!
「だ!旦那様!」

 捨吉がへっぴり腰で槍を構えたが、その男が振り向くとぺたんと尻餅を突いた。
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