小説:夢幻泡影

03

近くにある広場に引き寄せられた優花。
何かを感じて、ただ歩き続ける。

何も置物がなく、キャッチボール等をするのに最適なその場所は広場と呼ばれている。

「広場のどこに……」

引き寄せられたとはいえ、
輝く石にたどり着くには自分で探す必要がある。

落ちている可能性があるため
地面を細かく捜索する。

「ん」
広場の中心部。
図形、文字、記号。
これらが集まり何かの紋章を形成して地面に描かれている。

「……これ?」
呆気に取られつつも
まじまじと見つめていると
それを待っていたかのようにまばゆい光が放たれる。
同時に紋章が描かれていた部分に穴があき、
光は地下へ続く螺旋階段を生み出しながら地下へ降りていく。

「あ、待って!」

後を追うように階段を降りて、光を追い掛ける。
降りた場所、周囲は空洞。
光が奥へと進んでいくだけ。
長い長い直線を駆け抜けて光を捕らえる優花。息切れしながらもそこを見上げる。

「……なに、これ」

古めかしい置物が立ち並び、
天井には先程、広場の中心で見た紋章と類似するものが刻まれている。


「来たわね」

対象に位置する通路から聞こえた声。
先程捕らえた光がその声の主の姿を映し出す。

「人間……じゃない……!」

人のようで人でない。人ならざる者在り。
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