月と太陽の事件簿3/ツといえばカ
達郎は何度もうなずきながら腕組みをした。

そして無言のまま最後の容疑者の写真に目をやった。

河村司はギター担当。
前の2人に比べると線が細く、大人しそうな印象を受ける。

事件のあった夜は自宅のアパートでゴロゴロしていたそうだ。

「彼とメッセージの関係は?」

「被害者とは幼馴染みだそうで、普段から『つかさ』と下の名前で呼ばれてたらしい」

「被害者とのトラブルは?」

「先にあげた2人との揉め事が起こると、いつも間に入って仲裁役をやってたそうだ」

「堪忍袋の緒が切れたという事ですか」

「そうなるかな」

「ふぅん…」

達郎は唇を少しだけ尖らせた。

考えが煮詰まった時に、必ずやる仕草だ。

まぁ容疑者が3人ともダイイング・メッセージに該当するのだから無理もない。

「最初が『つ』なんですよね…」

血文字の写真を眺めながらつぶやく。

「あ…」

「どうした達郎くん!」

警部が身を乗り出した。

< 8 / 18 >

この作品をシェア

pagetop