魔王さま100分の2
「ヘナに危険があると判断したなら、その場で交渉の破棄を許す。ヘナの保護を最優先にして退け」
魔王さまが念を押す。
「私なら、大丈夫です」
ヘナは、頭巾で隠れた顔で言う。
「うー、やはりヘナを使いに出すのは心配だぞ」
魔王さまは、がばっとヘナに抱きついた。
ローブごと抱きしめられて、あうあうとヘナは両手をふる。
背中を中心にしてへナのローブが乱れ、そのままヘナと魔王さまはもつれて倒れる。
シルキスは、倒れるふたりを片目で見ながらキーヤに言った。
「おまえに託すものはこれで全部だ。やれるな、とは問わない。やれないと思ったら見栄を張らずに戻ってこい。それで笑いも責めもしない」
「おうっ」
キーヤは、自分にかけられた期待と責任の大きさを自覚した。