魔王さま100分の2

アイオネは、新しい涙をふきながら壁の外を見る。

島を包む海が青い。
快晴の太陽が白い。

ここからは他の島が間に入って見えないが、イアリミアの観光区には笑顔でバカンスを楽しむ人達でいっぱいだろう。

将来を誓い合ったカップルも大勢いるに違いない。

「ふう~」

アイオネは大きなため息をつく。
魔王さまをぶん投げ、もう一度キャッチした。

隣に置く。
さすがに目をまわしているようなので、腰に手をまわして抱きとめておく。

またふざけてきたら、今度は4倍速にしよう。

胸の中で予定を立てて、魔王さまに言う。

「魔王さま、いつものがそろそろ来ますよ。これが見たかったのでしょう?」

「アイオネと一緒にね」

自分の身をアイオネの腕にすべて預けて答える魔王さま。

アイオネ達がいる島からずっと遠く。
快晴のはずの海に、霧が立ち込め始めた。

第三者から見れば、
魔王さまに負けていないアイオネの肌が、

魔族の気配を感じ取って、
ちりりと痺れる。




──魔王さまと良血勇者 終わり

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