魔王さま100分の2
霧は、イアミリアの一般観光区からも見えた。
海岸や船や宿の高い窓を陣取っていた観光客達は、一斉にそれぞれの双眼鏡と望遠鏡を目にあてる。
霧と観光客達の間には5隻の戦艦。
レンズを通して見ると、なかなかの迫力。
板金に包まれた巨体で波を押し潰しながら、互いに一定の距離を保ち、霧をゆっくりと半包囲していく。
一方、戦艦の動きに応えるように拡大していく霧。
密度も濃くなっていき、中心部が黒く染まる。
それぞれの戦艦の甲板で人の何倍もある砲身がむき出しになり、飛行杖を持った魔法兵が左右に列をつくった。