魔王さま100分の2

「手を切らないようにしてくださいね」

シルキスは、諦めた。

まあ、破片抜きは、かなりの大出血をともなう作業になるだろう。

特に身体の奥にまで入りこんだのを掘り出すには、信用できる技術と、まったく平気な顔で人の傷に手指をつっこめる精神が必要になる。

不幸なことに今のシルキスには、その両方を備えた知り合いは思いつかない。

立場上、イアリミアにある大病院には頼りづらいので、

現状、片方だけは確実に持っている魔王さまに身を任すのがほぼベストだったりする。

ヘナに回復してもらいながら、やってもらえば死ぬことはないだろう。

そして、勇者的に死ななければ完全回復と同じだ。

「できれば、作業前に手と道具は消毒してくださいね」

「道具なんかいるのか?」

さすが魔王さま、頼もしい。

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