魔王さま100分の2

金の魔王さまとシルキスは、
門にむかっているアイオネ達を見た。

調子にのった黒の魔王さまが、
アイオネの耳元に口撃をしかけ、

何を言ったかは聞こえなかったが、アイオネに足首を握られて逆さ吊りにされ、担がれて運ばれていく。

「わーん、ごめんなさーい」

泣いて謝る声だけ、しっかり届いた。

「……」

シルキスは、それを見なかったことにして、ちょいちょいとレンガを最終調整。

地面に寝かせてあった鉄板をアイオネに負けず軽がると持ち上げ、ガツンと両端を積み上げたレンガに乗せてセットした。

「ごく単純な組上げですが、こんなものでしょう」

「おおおっ、十分だ」

金の魔王さまから、お褒めの言葉。

レンガと鉄板の周りをぐるぐる回わって、全ての角度から出来たての焼き場を視察する。



──魔王さまと居候 おわり

< 530 / 582 >

この作品をシェア

pagetop