魔王さま100分の2

陽が落ちきる前に二つの炉は完成し、
火が入れられ、

陽が落ちて、
星が輝き出す前に、

倉庫から運び出された色とりどりの食材が、鉄板にばら撒かれた。

敷かれた油が鉄板の全面で跳ねる。

「よしよしよしっ」

「こういうの初めてだけど、すごいね」

「魔王さま、危ないですから油が落ち着くまで下がっていてください」

「こちらもです。薪の追加はまだまだいりませんから、下におろしてください」

宴の始まりに身を乗り出す魔王さま達を、シルキスとアイオネは自分の後ろに隠して火と油から守る。

< 533 / 582 >

この作品をシェア

pagetop