魔王さま100分の2

「それよりも、そろそろ次の船を診にいかなくては」

「そうですね」

会話は打ち切られ、エミリオとルッティは次の船に向う。



約一年も前、
ある辺境都市で魔王が逃げた。

その事実を知っている人間は、
ここにはほとんどいない。



「シルキス、もと押せっ。もっと速くっ」

その魔王さまが、
今この海で、

シャチの浮き袋に乗ってはしゃぎまくっているなんてことを知っている人間は、

ひとりもいない。




──魔王さまと働く人々 終わり

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