Snow Drop~天国からの手紙~(下)【実話】
まだ誰の足跡もついていない真っ白な絨毯。

キラキラキラキラ…

冬の太陽の弱い陽射しが絨毯に反射して、あたり一面ダイヤモンドがしきつめられているみたいだ。

「あこ、行ってきな?
うちらはここで待ってるから!」

エリはあこの背中を軽くポン!と押すと、何か意味ありげな顔で笑顔を見せた。

『うんっ!行ってくるっ!!』

もう、戻れない。
ここまで来たからには行くしかない。

勇気がどうとか言ってる場合じゃないんだ。

あっちゃんとの唯一の繋がりの場所。

その絆をこの目に焼き付けるんだ。

サクッ…
サクッ…

何億ものダイヤモンドの絨毯を一歩ずつ、ゆっくりと踏みしめて行く。

大雪予報は、全くの大外れ!!

こんなにもお日様が公園を照らし出している。

一歩…また一歩。


『あぁぁ……咲いてるぅー!!』

あっちゃん!!
今年も咲いてるよ!!
あの頃と変わらずに元気な花が笑ってる。

小さな、小さな体で、たった一人で…

この雪をかきわける様に、必死に生きてるよ!

あこは花の横にしゃがみ込むと、花の回りの雪をよせ始めた。

ザッ…ザッ………カツンッ…

――――!!
『あった、あったぁっ!!』

小さなプレートに書かれた文字は消えかかっていて、もう薄汚れているけれど、ちゃんと残っていた。

“あこの花”
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