Snow Drop~天国からの手紙~(下)【実話】
ねぇ、あっちゃん?

このキキョウの花が咲く頃にはね…

もう一人、あこの大切な家族が増えます。

あっちゃんが残してくれた、大きな大きな幸せの結晶です。

頑張って産むからねっ!!


「よし!!うちらも帰ろっかぁ!!
新米かぁちゃんっ?(笑)」


『あーっ!!待って!!忘れてたぁっ!!』

あこは、ワンピースのポケットから大切な物を取り出した。

ゴソゴソ…


「何?それ?」

『フッフーン♪実はねぇ!!ジャーンッ♪』


ポケットから取り出した大切な物を大事そうに握り締め、あこは、キキョウの花を植えた横にお腹を抱えながらゆっくりとしゃがみ込んだ。

サクッ……


「あーっ☆
作ったのっ?それ!!」

『ウンッ!!』

キキョウの花の横にそっとさしこんだ物。


それは、真っ白なプレート。

真っ白なプレートには、真っ黒なマジックであこが書いた文字。


【あっちゃんの花】


「へぇ!いいじゃん!」

『でしょっ♪さ!帰ろ!!エリ!』

あことエリは、ギュッっと固く手を繋ぎあい、公園を後にした。
エリには内緒で一度だけ公園を振り返った。

大きな木の下に並ぶ二つのプレート。

冬に咲く花
【あこの花】

夏に咲く花
【あっちゃんの花】

なんとなくだけど、そのプレートの横であっちゃんが笑っている様な…そんな温かさを感じた。
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