「 」の法廷
はじまりのその二


 *



 自分のことは自分が一番知っている。


 そんな言葉があるけれど、どうやら私には当てはまらない。


 昔からよく私は突発的に記憶喪失&二次世界を作り出していたらしい。

 らしい、というのは自分自身はさっぱりだからだ。

 だって記憶を失ったわけでもないし、行き過ぎた妄想癖。在るべきじゃないものを勝手に創造しているわけでもない。



 色んなことが突然だったのはよく覚えているというか、それは今も現在進行形で起こっている。


 おかしなことその一。気づいた時には両親はいなくなっていた。
 いたはずなのに消えたのだ。


 それを口にしても誰も信じてくれなくって、私はいつからからおじーちゃんと二人で生活することになった。


 おかしなことその二。どっから現れたのかおじーちゃん。

 私の記憶が正しければ祖父母はどちらも私が生まれてすぐに他界している、はずだったんだけど。


 学校はどうだったか、とか。家に帰るとそのおじーちゃんなる人が突然居座っていたのである。


 今なら大騒ぎになっていたんだろうけど、当時はまだまだ子供。これといって疑いもかけずに、そうなんだと素直に納得した。


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