End of the Love 【短】
「ママどうかした?」


「ん?

どうもしないよ」


そう言って千沙の手をとり
英人の腕に自分の腕を絡める




日に日にあの人に似ていく娘を
心の底から愛しているのは

今も彼の面影をどこかで追っているからなのか
それとも…




「千沙ね・・・
ママもパパも大好きだよ」


無邪気に笑う娘に
微笑む私と英人


「パパもママと千沙のこと大好きだよ」


「本当に?
ママは?」


その無垢で大きな瞳に見透かされたようで
一瞬、今は千沙の首にかかるあのリングに目を通し
決心したように口を開いた


「ママも…

千沙と…
パパのこと大好きだよ」






人は誰でも
傷を抱えながら生きている

苦しみ
悲しみ
怒り
憎しみ

それは避けられないことなのかもしれない


だからこそ
私はこうやって今でも生きている

未だ癒えぬ傷を抱えて
生きていくしかないのだから





「千沙、今すっごく楽しいなぁ」




無邪気で明るい千沙の声が
晴れ渡った空の下で

心の奥底に響いた気がした





END

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