六花の騎士



カツン、とヒールの音が響く


「どうしたって言うんです?あの子に対して冷たかったのに」


柱の影から声がかかってトーワは立ち止まった


「別に……」


月明かりに照らされて、キャリベルの横顔が現れた


「まぁ、構いませんけど……ここならアルメリア様の目も届かないことですし、ゆっくりなさって下さい」


苦笑してキャリベルはうつむく少年を見る
トーワはアルメリアを敵視している
それは致し方ない事だ
全てを見ていたキャリベルは、その気持ちをよく分かっていた



『六人しかいない大切な、家族ですもの。………これからは手を取り合っていかなくちゃね………』



アルメリアの声が聞こえるようだ
あの食事会で殺気を放ったのはトーワだ


凍てつくような、冷たい殺気


メノリも、ロットやリア誰も知らない事
悲しい過去



「俺は………」


感情がない交ぜになった瞳は固く閉ざされる
そのまま何も言わずにトーワは、部屋へ帰った







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