六花の騎士



「その王族の方との子供が私の血筋なんです……だから、貴方の炎から身を守れたんです……だから私は大丈夫ですよ……」



王族と恋仲になり、その間に子供ができると稀にその子供は王族と同じ能力を持つ事がある
しかし、同じと言っても能力の片鱗が見られると言うことと、髪ではなく、瞳が赤に近い色になる
赤い瞳は王族との子供であれば現れる
それ以外では現れることはなかった


(私の瞳は薄紅………何代か前の事だからだいぶ能力は落ちてるけどね……)


そういった能力がある者のほとんどが王族の傍近くに使えている
そっと、離れる感触がして見上げればキャリベルの薄紅の瞳が悲しみを含んでトーワを見つめていた
そこには、嫌悪も同情も浮かんではいなかった
ただ悲哀の色だけがある


「……トーワ様」


真摯な瞳が静かに見つめてくる


「私なら、貴方の暴走を多少は押える事が出来ます……軍に入って、必ず六花の騎士になって……私は貴方を支えましょう」



暴走する力をトーワ自ら押えられるように
トーワは、コクリと頷いた
その少女は確かな誓いを立ててくれた



「ありがとう……」


トーワは消えてしまいそうな声で呟いた









< 167 / 364 >

この作品をシェア

pagetop