六花の騎士



『これは義務よ』



女神の様に微笑む女性は、体温の感じない瞳でトーワを見下ろす
アルメリアは歌う様な口調で軽やかに告げる



『貴方はその為に生まれたの。それ以外の存在理由なんて無いのよ?』



まだ十歳になる前ほどの時、幼い心を黒く塗り潰す様に、暗い暗い言葉をアルメリアはトーワに刷り込んだ


『必要とされなければ、私達なんてだだの………』





化け物よ?





まだキャリベルが居ない間に、重ねられる言葉
当日、聖花隊に属していたキャリベルが何かにつけて訪ねて来てくれていた


しかし、キャリベルに全て寄り掛かることは、自分が許さなかった
アルメリアの言葉はどんなに黒くても、それは真実だったから




必要とされなければ、誰がこんなにも罪深い自分が生きることを許してくれるというのだろう?






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