六花の騎士
自然な仕草でオーガレスはティアの瞳に架かる青い薔薇に触れた
「不躾なことを聞いてしまった、すまないね」
不敵な笑み
オーガレスの瞳を見ていたティアが不意に呟いた
「貴方の瞳は……」
「血の色かい?」
ティアの言葉を遮り、そういった
仕事ととなれば、どこまでも冷徹な自分にぴったりの色
そう言われると予想して先に言ったのだが、意外な言葉が返ってきた
「いえ……まるでビー玉みたいですね」
予想外な言葉は何やらツボに入ったらしく、オーガレスは口元を押えて笑っている
「ははっ……そんな風に言われたのは初めてだ」
オーガレスは踵を返す
振り向きざま他愛のない言葉を投げ掛ける
「君の生まれた所はどんなとこ?」
ティアは目を細め、遠くを見るように呟いた
「………寒くて、静かな………所でした……」
「………そうか」
歩き始めたオーガレスは振り返らずに、言葉を夜闇に落とす
「……おやすみ」