六花の騎士



2年程前のことだった



柔らかい日差しが部屋をさす


薄桃色を基調とした可愛らし部屋の主は、白い軍服に身を包んでいる
きっちりとした軍服は一見、騎士には見えないほど華やかなデザインだ
淡い紅色のプリーツスカートに高いヒールの靴は、愛らしい顔立ちを凛とさせる


リア・ヴェルラドル

六花の騎士が一人、『閃光の薔薇騎士』である



コンコンッ


リアは扉をノックする音に答える
すると扉を開けたのはメイドのナタルだった


「お嬢様、旦那さまがお呼びですよ……」


五十歳をむかえたばかりのナタルは、しわの深い顔を険しくしていた


「………わかってる、でもやめない」

「……本当に旦那さまもお嬢様も頑固なんですから」


ため息を軽く吐いて、ナタルは少し微笑む


「お気のすむまでお話なさって下さい」


付き合いが長く、気安いナタルに背を押され、少しだけリアは微笑む


「………うん」










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