六花の騎士



「ねぇ、そんなことより君は誰?」


そんなことより……。



どうでもいい世間話をするように彼、ロットは言った
しかし、リアは内心驚きつつ、完璧な礼をとった


「本日より、ロット様の身辺警護を承りました。リア・ヴェルラドルです」


するとロットは長い袖で頭をかく


「堅いな〜帰っていいよ。俺、騎士なんていらないから」



ふぁ、と大きなあくびをして、立ち去ろうとするロット


ガシッ


すかさずリアはロットの襟首をつかんだ


「……なに?」


自分の胸ぐらいしかないリアに思い切り、襟首をつかまれた
表情の少ないリアだが、決して無感動なわけではない


リアは、うっすらと微笑んで見せた



「帰りません」


青い瞳の奥で赤い炎が燃えているのをロットは見て取った
引き下がりそうにないリアにため息をつく



「……ハイハイ、わかったよ。勝手にすれば…」





それが二人の最初の出会い





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