泡姫物語
話はお見合いから結婚観に変わる。

「ところで、藤田さんはお見合いに乗り気じゃないみたいですけど、結婚願望はないんですか?」

「うーん、僕の場合はモテなくて彼女もいないから今までは結婚とか気にしていなかったんだ。でも、30になって、お見合いの話があったりして結婚のことを少し考えるようになったよ。独身で老後を過ごすのは淋しいかな、とかね」

たとえ結婚願望が生まれたとしても今度会う女性は候補に入らないといいな。そして私が候補にちょこっとでも入ってたら嬉しいな。

「君はどうなんだい?まだ若いから想像できないかな」

「その逆です。私は昔からお嫁さんになって子供のいる温かい家庭を作るのが夢なんです。ちょっと子供じみていて恥ずかしいんですけどね。肝心の相手がいないから叶うのはまだまだ先の話になりそうですけど」

「君だったら格好いい旦那さんが見つかると思うよ。優しいイメージにピッタリの夢だね。旦那になるひとが羨ましいよ」

そこで立候補でもしてくれればいいのに。
私と藤田さんの壁はまだ高くそびえ立っている。

まず今はお見合いが何事もなく終わってくれることを願うのみ。
時間がきて藤田さんはまたねと言って帰っていった。

今度会うときは私にとっていい報告を持ってきてくれますように。
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